クラウディアとカトレアが依頼の内容を検討しているのを立ち聞きしてしまったヴァイオレット。依頼主がいるのは内戦の最前線で、クラウディアは自社のドールを戦地に送るわけにはいかないと言う。でも、そんな最前線にいる兵士だからこそ、誰かに伝えたい思いがあるのですが…。それを知ったヴァイオレットのとった行動とは…。
本当に毎回、泣かされてしまう作品です。もちろん今回も心動かされました。
ここからネタバレありの感想です。
終戦に納得できない強行派がいるために内乱状態となり、そんな中で、最前線にいる兵士から代筆の依頼があります。危険な場所なので、クラウディアからするとそこへドールを派遣するわけにはいきません。でも、カトレアの言うとおり、危険なところにいる兵士だからこそ、伝えたいことがあるんですよね。こっそり話を聞いていたヴァイオレットは、断るはずだった依頼を勝手に引き受けようと黙って一人で出発してしまいます。
「届けたい気持ちがある」今は、手紙の大切さを知っているヴァイオレットだから、黙って見過ごすわけにもいかなかったのでしょう。クラウディアはヴァイオレットが知ったら引き受けると言うだろうと見越していたんでしょうね。ヴァイオレットは頑固そうなのは以前からですが、割と無茶もするようになりましたね。
現地の郵便局で自分を最前線に配達しろと交渉しているところ、淡々と陸がダメなら空から運べと説得しているのは、一見、ちょっとしたユーモアも感じますがヴァイオレットの生真面目さを表現しているところでもあり、複雑な気持ちで見ていました。彼女が使命感にかられて言ってるのは相手の配達人(パイロット?)が受け取ったとおりなのですが、ただ違うのは、思いつきで言っているのでもなく戦地というものを知らないで言ってるわけでもないというところです。ヴァイオレットなりの覚悟があって来ているんですよね…。
そしてヴァイオレットが乗せてもらった飛行機から見下ろす雪山には、若い兵士たちの死体が点々と…。戦場をの様子を見たヴァイオレットが、以前とは違う気持ちで見ているのだなと暗い表情からわかるところも凄い。その少し前に、今回の話の軸となるエイダンを始め、若い兵士たちが死にたくない、帰りたいと必死になっていた描写があったので、ヴァイオレットの複雑な心情も含め余計に辛く感じました。
ヴァイオレットが空から降ってくるシーンは本当に見事でした。頭から降りていたヴァイオレットの姿から、エイダンの視点に変えてダイナミックに見せてくれるところはとても美しくて、天使か女神が降ってきたかのようでした。作画素晴らしいです。
そして本当に言いたかったことはここからで、ヴァイオレットがエイダンを助けて、手紙を書いてあげて、エイダンの家族とマリアに届けるまで…。エイダンがもうすぐ自分は死ぬからと手紙を書くように言ったとき、大丈夫だからとか、きっと家に帰れるとか助かるとか、ヴァイオレットからの励ましの言葉が無かったのも印象的でした。そういうことではなく、指を動かすだけでエイダンの言葉を記憶しようとしたり(タイプライターの音も重症のエイダンの刺激になるから?)、そばにいると手を握って声をかけてあげたりと、ヴァイオレットなりの心遣いがあってとても良かったです。
最後に手紙をエイダンの故郷に届けてあげて、両親もマリアも泣いてしまって、ヴァイオレットもとても辛かっただろうと思います。それでも、帰りたいと言っていたエイダンの言葉と、「息子を返してくれてありがとう」といったエイダンのお母さんの言葉は、ヴァイオレットが書いて届けた手紙で繋がったんだとわかって…。本当に泣けました。助けてあげられなくてごめんなさいと泣くヴァイオレット。エイダンのことも、きっとギルベルトのことも。
サブタイトルの「もう、誰も死なせたくない」という言葉、心に刺さります。
これまでのストーリーで、いろいろなヴァイオレットの思いを受け取ることができます。
エイダンさんの事は残念でしたけど、救いになったと思います。
本人にもご両親にもマリアさんにも。
彼女は立派なことをしたと思いますが、会社の皆が心配していることも
…多分分かってますよね。
皆から優しくされたから彼女も優しくなったので、行かずにはいられなかったのだと思います。
郵便屋さんがドールの仕事に対抗?共感?して、
荷物を届ける使命感を示したシーンは、わずかに緊張の糸が揺らいで素敵でした。
そうですね…
本当に最後に気持ちを届けられて、少しでも救いになってよかったです。
ヴァイオレットは多分止められるとわかっていて、こっそり行ってるので
心配されたり、戻ってから叱られるのもわかっていますよね。
郵便屋さんのシーンは私も好きです。