ヴァイオレットの次の出張先は、小さな娘がいる病気の母親の代筆です。
小さなアンは、自分と母親の時間を邪魔されると感じ、最初はヴァイオレットのことを疎ましく思っています。でもだんだんと打ち解けて…。小さな子どもの気持ちを受け止めるヴァイオレットの姿に、成長を感じました。また新しい愛があるのだとヴァイオレットは知ります。
毎回とても泣けるのですが、今回は本当に…。とてもいい話でした。
ここからネタバレありの感想です。
お人形遊びが好きなアン。そこへおしゃれな日傘をさしてタイプライターの入ったバッグを持って歩いてきたヴァイオレットは本当に人形に見えたようです。「お人形が歩いてきた!」とアンが母親に言ったのは、本当にお人形だと思ったからなのですが…。ヴァイオレットたちはドールと呼ばれているので、アンも例えで言ってるのだと思われたのでしょうか。ヴァイオレットのやること全てに驚くアンに母親は「失礼よ」と窘めるものの、勘違いは正されませんでした。
ヴァイオレットもカトレアの話を出すまで、アンが本気で自分を人形だと思っているとは気が付かなかったみたいですね。ずっとこの子は何を言ってるの…?と戸惑っているのは伝わってきましたが、本気で人形と思っていると、ここでわかって、でも笑顔で否定しなかったところにヴァイオレットの成長を感じました。ちょっとした仕草や表情の変化で、セリフや説明がなくても、観ていてわかる。絵が美しいのも素晴らしいんですが、本当に表現力が素晴らしいんですよね…。
アンは無邪気さから最初はヴァイオレットに失礼な態度もとるし、わがままなこともたくさん言います。ヴァイオレットと打ち解けてからは気持ちを素直に話せるようになるのですが…。それまでもその後も、ひたすらヴァイオレットがアンの気持ちや考えは否定せず、でも母親の思いも考えて言えないことは言えないとしっかり線引もして、ひたすら忍耐のいる対応をしていて…。ヴァイオレットの優しさと、芯が強くなったなと感じました。
そしてヴァイオレットと一緒に過ごすことで、アンも短い間でも成長したのがわかるのも凄く良かったです。母親に向かって、要するにもうすぐ死んでしまうんでしょ、という内容のことを、感情のままにぶつけたときはあまりの言い様にビックリしましたが…。いろいろわがままで生意気なので、微妙な子だな…と思ってみていたところにこれで、大丈夫かなと心配になったのですが…。ヴァイオレットが、アンの気持ちに寄り添って褒めてあげていたのは感動しました。母親にあんなこと言ってはいけない、という流れになりそうなところだけど、そういうことは一切ヴァイオレットが言わないのはいいですね…。本当に優しくなったなと思いました。
アンの母親の手紙は、てっきり遺書かなと思っていました。でもそうじゃなくて、これから50年、アンの誕生日ごとに届くように用意した手紙でした。最初の一通目、アンの8歳の誕生日に届いた手紙でそれがわかって、10歳になり、18歳になり、20歳になって、ずっとずっと手紙が届く。これは泣けました。思い出しても泣けてきます…。
ヴァイオレットがアンの家にいるときは泣きたい気持ちを堪えていたと後になってわかったときも泣けました。あんな小さな子が、とヴァイオレットも辛かったんでしょう。母親の代筆をしながら、母の愛についても考えることができました。アイリス母娘のときとはまた違った愛情です。
愛する人は、ずっと見守っている
そうですね。自分を心から愛してくれた人、自分が心から愛している人は、遠く離れてもずっと見守ってくれる。少佐も、今もずっとヴァイオレットのことを見守っていてくれるといいなと思います。
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ヴァイオレットちゃん、目の周りが微妙に動いているのは僕も感じました。
何か感じているとは思いましたが、50年目までの娘さんの手紙の思いだったとは…
代筆で50年間、お母さんが娘さんと一緒にいられるようにしたんですね。
一言では言い表せない優しいものを感じました。