アイリスに初指名が来ます。出張先はアイリスの故郷カザリで、アイリスは皆に自分がドールになった姿を見せて自慢できると大はしゃぎです。出張先にはヴァイオレットが同行することになったのですが…。
アイリスとヴァイオレットのエピソードです。毎回ほんのり泣けるところが良いですね。今回もとても素敵な話でした。
ここからネタバレありの感想です。
アイリスはほぼ無名のドールで、指名も今回が初。ライデンで来客の依頼からだんだんと指名がついていくのが普通じゃないかな、と思うので、いきなりアイリスの地元からの指名は明らかに怪しいです。どこでアイリスのことを知ったんだろう…と考えたら、身内だろうな…というのは予想がつきます。これはアイリスとヴァイオレット以外は気がついていたのでは。
初指名に浮かれすぎたアイリスは階段から落ちて怪我をしてしまいます。タイプライターが打てなくなってしまったため、アイリスの補助にヴァイオレットが同行することに。ヴァイオレットが来たばかりの頃は、アイリスはすぐにクビにしろとクラウディアに噛み付いていましたからねー…。それを思うと今は普通な感じなので、お互いに慣れてきたんだな、と思いました。本当はアイリスも一人で行きたかったでしょうけどね。
列車の中でアイリスの故郷の話をしていた時に、故郷にこれといって特徴がないことをヴァイオレットが悪いことだと思っていないというのが印象的でした。資源があったり何か特別なものがあったりすると、外部から人がきて争いが起きてしまう。でも何もなければ争いも起こらない…。ずっと戦場で生きてきたヴァイオレットの言葉だから重みがあるのですが、その重みに本人が気がついてないのが、いつものことながらもどかしいです。遠回しですが、戦争についてヴァイオレットが自分の考えを述べるのはこれが初めての気がします。アイリスもヴァイオレットのことを一つ知った、という感じでした。
アイリスとヴァイオレットがカザリに着いてみると、アイリスの家族・親族がお出迎え。アイリスが怪我のことを疲労が原因とか、ライデンで人気ドールと言ったりと見栄をはるのをヴァイオレットがことごとく否定します。この話を聞きながらアイリスの母がいかにも気に入らない、という顔をしていたので、ああ、アイリスがドールなのが実は気に入らないんだなあ…と思いました。
ヴァイオレットの所作の方がいかにもお人形といった風情で、親族のみなさんグッときたようで、それもアイリスは気に入りません。ここで実は依頼主はアイリスの母で、(アイリスにばれないように)ひいおばあさんの名前を使って依頼していたことが発覚します。うーん…。
結局、アイリスの母の問題で、アイリスにはドールをやめて地元に帰ってきてほしかったんですね。そのためにドールの指名をすれば出張で来るだろう(人気がなくて暇だろうというのもお見通しかな?)、その時に誕生日パーティを口実に人を集めて婚活させようという作戦でした。これは、アイリス母娘の価値観に溝がありすぎて何とも…。しかも招待客にアイリスを振った相手の名前があり、アイリスが外してほしいと言ったけれど結局呼んでしまう。そして一悶着です。
いろいろ母親のデリカシーが足りてないなと思う一連の話ですが、ただ難しいなと思うのが、アイリスがドールになろうと街を出たきっかけが失恋なんですよね。最初からドールになりたくてドールを目指したわけではなくて、その辺が母親に見透かされていたのかな、と。でもエリカも向いていないけどドールを続けたいという話が以前ありましたけど、アイリスもアイリスで最初から向いているわけではなくて、努力して今の仕事についたわけです。アイリスにとって大事なのは、努力した結果、今ここにいるということで、最初の曖昧な気持ちのままではないんですよね…。
最後はアイリスが心配かけてごめんなさい、でももうちょっと頑張らせてね、みたいな手紙を両親に送ってまとまりましたけど…。お母さんからもアイリスに何か謝ったり優しい言葉とか欲しかったなあと思いました。でも、失恋のこと、親との関係のこと、いろいろモヤモヤしたことが今回で少し晴れたのならアイリスも来た甲斐がありました。
ヴァイオレットも、カザリの美しい田園風景に何か思うところもあったようだし、アイリスとぶつかったことも良い経験でした。人の気持ちがわからない…そう言われて、素直に反省していましたね。アイリスの両親が心配していたからというのがエイモンとの失恋を話してしまったので、少なくともご両親の気持ちは汲んでいるのですが…。アイリスの気持ちはわからなかったですね。そうなんですよ。前に怒っていたお客さんと同じで、恋愛が絡むと人の気持ちの複雑度は上昇しますね…。「愛してる」は勇気がいる言葉…。
アイリスもヴァイオレットが反省する話を聞いてあげていて、優しい子だなと思いました。少佐の話を聞いて、ヴァイオレットのことが少しわかって、そしてまた自分のことも考える。アイリスはヴァイオレットに手紙を依頼すると、今度は、招待客へのお詫びだけではなく、両親にも書いたらとヴァイオレットがアドバイスをします。人と人との関わりで成長していく姿(アイリスも、バイオレットも)は、とてもいいなと思いました。「人の気持がわからない」と言われた相手から「いい手紙だった」と褒められて、とても嬉しそうでした。
アイリスの名前の由来で、ヴァイオレットが自分の名前をもらったときのことを思い出します。道具ではなく華の名前が似合う人になる…。その意味もわかる日が来るとよいのですが。自分は愛される価値があるのだと、気がついてほしいという願いが込められている気がします。
ヴァイオレットの花言葉は「謙虚・誠実」ですが、そこまで考えてつけられたかは不明です…。ギルベルトさんはお坊ちゃんなので知っていてもおかしくないですけどね。
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今回、何処にでもあるようですが、それだけ身近なテーマでしたね。
親子のすれ違いは何処でもあるようですが、うーん
とにかく、誕生日に笑顔で出発できてよかったです。
ヴァイオレットちゃん、元軍人なのでやはり立ち振る舞いは映えましたね。
彼女も少しだけ夜景の美しさに価値を見出したり、
人が傷つく戦争のことが分かったり(前回の兄妹の影響でしょうか?)
情緒、心情といったものが少し出てきましたね。
両親の心配を見抜くものの、それを直接カトレアさんに伝えると、精神的にくることは分ってなく…難しいですね
余談ですが、冒頭の「分かっていないけど分かっている」のシーンで
fateのカルナさんを思い出しました。
本当の事をざっくり言われると、怒るか喜ぶのどちらかないらしいです。
こんにちは。コメントありがとうございます。
ヴァイオレットも成長しているのですが、なかなかもどかしいですね。
本人が一番それを悩んでいるのかもしれませんが…。
わかりたくてわからないことを悩んでいる、っていう葛藤が出たのも
良かったなと思います。
戦争、そうですね、ルクリアの家族が戦争で不幸になったのを見て、
一般の人にとっての戦争について考えることがあったのかもしれませんね。
ほんとうに少しづつのエピソードの積み重ねで成長が描かれていてすごいです。
そうそう、分かってるのに指摘されると怒っちゃうのは皆そうですw