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2017年09月22日

Fate/zero【全25話】感想

Fate/Zero(全25話)
第1期:2011年10月 - 12月
第2期:2012年4月 - 6月

「Fate/stay night」の前日譚。第四次聖杯戦争を描いています。

本作では衛宮士郎の育ての親、衛宮切嗣が主人公です。stay nightの物語の開始時にはすでに故人だったため、断片的なことしかわからなかった人物なのですが…。その切嗣が関わった前回の聖杯戦争の物語が「Fate/zero」です。バトル・アクションも楽しめますが、それよりも心理描写に重心があるところが面白いと思いました。マスター同士のドロドロとした駆け引き、サーヴァントそれぞれの英雄たる思い、マスターとサーヴァントの様々な主従のあり方を掘り下げるなど、stay nightとはまた違った切り口の物語になっています。

stay nightの前日譚…と書きましたが、繋がらない部分や矛盾点もあります。ここが評価をわけるところでもあるようですが、これはこれ、それはそれで、私はとても面白かったです。stay nightよりもかなりグロテスクな表現が多いので、そこは苦手な方は注意です(私も得意ではないです)。

ではここからネタバレありの感想です。




聖杯戦争は7人のマスターと7騎のサーヴァントが軸になるのでそれだけでも登場人物が多いのですが、さらにそこに別な形で関わる人々もいて、本当にたくさんの思惑が入り組んだ一筋縄ではいかないストーリーでした。マスター同士はお互いに画策しドロドロとした騙し討ちをし合っているのに対し、サーヴァント同士はお互いを尊重しあい、騎士道精神で対峙したり、危急の際には共闘したりというのも面白いところでした。人には様々な感情があって、その中には汚いものも少なくありません。“望みを叶える”という究極の欲のために、とにかく何でもありだったのは人の方でした。対して英霊の方は、英雄としての魂で行動していましたね。まあいろんな英雄がいるわけで、いろんな魂があるわけですが…。

前半は展開がややゆっくりで、全体的に暗くて静かな印象でした。切嗣の人物像が序盤は掴みにくく、冷酷な主人公というのも珍しいなと思って観ていました。聖杯戦争に参加しているマスター(魔術師)というよりも、ただの殺し屋のように見えました。そもそも戦闘力とするためにサーヴァントを召喚し、サーヴァント同士を戦わせて勝敗をつけるのが聖杯戦争で、切嗣のような戦い方をするのならサーヴァントは必要がないことになってしまいます。サーヴァントの主を排除していくことも作戦の一つとして正解ではあるのですが、切嗣の場合は何とも後味の悪い行動が多いのです。これが後半になって語られる切嗣の幼少期からの話を見て、やっと、共感はできないけれど理解はできるようにはなるのですが…。

切嗣とセイバーの関係は上手くいっているとはほど遠く、切嗣の妻アイリスフィールがマスター代行をしています(他にも理由はありますが…)。切嗣はまるでセイバーなどいないかのように振る舞い、セイバーは切嗣に不信感を持ち続け、最後まで関係が正されることはありませんでした。Fate/Zeroでのセイバーは正義感が強く、騎士道精神に拘り、正しき王を目指す光のような存在です。私はひたすらにまっすぐな騎士王もいいなと思いました。ギルガメッシュやイスカンダルには笑われてしまいますが、そんな未熟さも、手段も目的もどちらの正しくなくてはいけない、諦めの悪い姿もいいと思います。目的のためなら手段を選ばない切嗣と正反対の存在として描かれていたのも良かったと思います。

マスターとサーヴァントは極端に噛み合わないものから程度の差こそあれ、意外なことに上手くいっている組み合わせの方が少ないのも悲劇的でした。特にケイネスとディルムッドは不幸で、英霊となったディルムッドは彼なりに忠義を尽くしたいのに理解してもらえず、最後は自害させられるという凄惨な最後でした。遠坂時臣とギルガメッシュも、カードとしては最強なのに、扱いにくい相手で結果的に上手くいきませんでした。正しい関係だったと言えるのは、サイコパスである龍之介とキャスター、ウェイバーとイスカンダル王くらいでしょうか。

ウェイバーとイスカンダル王は暗い物語の中で、ただ一つだけ暖かい場所だったように思います。実はキャスターと龍之介が起こす連続殺人の話などかなりグロテスクで見るのが辛く、切嗣の非常さも辛く、雁屋の話も辛いし間洞の家は気持ち悪いし、言峰も怖くて、次から次へとかなり精神を試される内容でした。もしウェイバーとイスカンダルのライダー組がいなかったら(もともとウェイバーが目的で見ていたのが本音ですが)、途中で断念してしまったかもしれません。豪快で懐も発言も大きく、頼もしい王様だったイスカンダルと、意地を張りながらも少しづつ成長していくウェイバーの姿は好感を持てました。

イスカンダル王とウェイバーの関係はとてもいいんですよ。ほんのちょっとしたことでも良いと思えばウェイバーを褒めます。ウェイバーから見たら無理矢理馬車に乗せられているときでも、イスカンダル王は「我が主は戦場にも一緒にきて勇敢だ」というようなことを言います。そしてウェイバーの「自分が周りから認められたい」という願いは小さなことで、もっと大きな願いを持たなねばならないと、ことあるごとに優しく語りかけるのも良かったです。イスカンダルの最後は泣けたし、最後の出陣前のウェイバーの行動も、この2人のエピソードは何もかも泣けました。

ただ戦うだけの話ではなかったです。
最後は本当にひどくて、争いのはてには何も待っていなかった。切嗣の正義や救いを求め続ける心は、まるで呪いだと思いました。ただ、あんな悲惨なラストでも、救われたのが士郎ではなく切嗣の方だったなら、実は願いは叶ったのかもしれない。

☆ ☆ ☆

実はウェイバーが「バカにしやがって!」というのを見て、それがとても可愛いかったのでFate/Zero観たかった、というのが一番の視聴動機だったのですが、どうせ楽しむならちゃんと楽しみたいので、stay night → Zeroの順で観ることにしました。そんなわけで、Zeroが私の本命だったのでこれを見たらOKのはずだったのですが、どれも面白いのですっかりハマった気がします。ウェイバーは予想以上に可愛かったです。ギルガメッシュは思いっきり悪役で、出て来るたびに「またお前かー!」とうんざりしていたのですが、それと同時にとても魅力的なキャラで良かったです。


第1期:2011年10月 - 12月/第2期:2012年4月 - 6月(全25話)
原作:虚淵玄 / TYPE-MOON
監督:あおきえい
脚本:ufotable、佐藤和治、桧山彬、吉田晃浩、実弥島巧
キャラクターデザイン:須藤友徳、碇谷敦
音楽:梶浦由記
アニメーション制作:ufotable
CV:小山力也、大原さやか、川澄綾子、速水奨、関智一、植田佳奈、中田譲治、浪川大輔、大塚明夫、緑川光、石田彰、他



posted by 白黒ウサギ at 21:02 | Comment(8) | TrackBack(0) | Fate
この記事へのコメント
stay nightとは執筆者が違うため、他のFateとは一味違ったダークな雰囲気の作品でしたね
そのダークさが切嗣や言峰のキャラには合ってましたけどね

この作品の一服の清涼剤であり影の主人公とまで言われるウェイバーですが
そのコンセプトは「正しい方向に成長できた慎二」だったりします
実は序盤のウェイバーのキャラは慎二に近いモノだったんです
それが立派に成長できたんだから、やはり人との出会いは重要ですね
また執筆した虚渕さん自身もウェイバーについて「ここまで主人公っぽくなるとは思わなかった」という意味のコメントをされてます

ところで、このFate/zero、漫画版がかなりの良作なので、7巻〜14巻だけでも読んでほしいです
アニメでは大幅にカットされたウェイバーや言峰、時臣やランスロットなどの心理描写が丁寧に描かれてますし、
ドラマCDで描かれた切嗣とアイリの馴れ初めや切嗣が士郎に半端な魔術しか教えなかった経緯、ウェイバーがロードエルメロイ二世になった理由などが描かれてます

なお全巻の購入をオススメしないのはキャスター陣営の殺人をはじめとするグロ描写までが力一杯に丁寧に描写されてるからです
特に3巻と6巻はその手の描写が苦手な人が読んだらトラウマになるレベルです
あれはウェイバーが嘔吐したのも無理ない光景ですよ
Posted by k at 2017年09月23日 21:31
こんばんわ

zeroでハッピーエンドになっていたら、そもそも本編が成立しないので…
面白いけれど、最後に一つだけ救いを残せた主人公のお話でしたね。

ステイナイトのファンディスクで大海魔のことが語られているので
作成時期はステイナイトの直後あたりでしょうか。

映像化されるにあたり、最後まで正体が分からなかった彼が
前期エンディングで丸わかりになるなどもありましたけど
美麗な背景のUFOさんが作ってくれてよかったです。

来月の14日には、ステイナイトの裏ルートである3つ目が公開されるので
楽しみです。…非常にアレ雰囲気ですが人気投票4位の彼女の魅力が発揮されるので。
Posted by ケイローン先生に弟子入りしたい。 at 2017年09月23日 23:01
☆kさん

他はラブコメ要素も若干ありますが、
大人が主人公だというのも相まってかなりダークな感じでしたね。

最初は、切嗣と凛のパパと綺礼がみんな雰囲気が似ていて、話し方も似てていて
慣れるまで「これはどれだ…」状態でした。(切嗣と綺礼の後ろ姿が特に)
最終的には、赤(凛パパ)、黒/無精髭(切嗣)、黒/愉悦(綺礼)で見分けてました…。

ウェイバーの原型が慎二とはビックリです。
イスカンダル王は偉大ですね…。
慎二もかわいそうと言えばかわいそうですね。
雁屋もかわいそうだし、そもそも間桐の家って気持ち悪いですもんね…。

漫画、おすすめありがとうございます。
電子書籍のセットが安くてさらに週末30%OFFだったので
思い切って全巻(1-14)購入してみました。
3巻と6巻は無理そうだったら飛ばしますね。
目をうっすら開けて(あんまり見ないように)読むことにしますw


☆ケイローン先生に弟子入りしたい。さん

>zeroでハッピーエンドになっていたら、そもそも本編が成立しないので…
言われて見ればそうでしたw
ハッピーエンドのはずがないって前提で見ないといけなかったですね。

桜ちゃんの映画楽しみです。
影が薄いのでどういう子なのかいまいちわからないのですが
(おとなしそうだけど、毎日好きな先輩の家にごはん作りにきたり
積極的なのか何なのかわからない)
今のままだとかわいそうなので、もうちょっと幸せにしてあげたいです。
でもなんか背徳感あふれた子な感じもするのでちょっと怖い…。

Posted by 白黒ウサギ at 2017年09月24日 17:59
まあ、漫画版を読めばわかりますが間桐家がああなのは、おおむね臓硯のせいです
あの蟲爺が元凶と言って過言じゃないです

慎二も雁夜も生まれた家が悪かったとしか言いようがないですね
慎二も士郎と初めて会った頃はあそこまで屈折してなかったんですよ
元から傲慢でワガママなところはありましたが、士郎と数年に渡って友人関係を続けられるだけの人間味がありました
UBWの序盤で、士郎がえらい慎二を贔屓目に見てますが、士郎の中では慎二に対する認識が昔のままだからです
昔は桜に対しても意地悪をしながらも優しくしてたんですよ
それがああなった具体的な理由はHFで語られると思うので伏せておきますが、
慎二も普通の家に生まれてれば、ああはならなかったとだけ言っておきます

雁夜に至っては葵さんに告白できなかった理由が間桐に生まれたからです
間桐の跡継ぎの嫁になるって事は桜と同じ目に遭わされるって事です
まあ、葵さんは時臣にベタ惚れだったので告白しても、どの道フラれたでしょうが、
あんなに未練を残さずに済んだでしょうね

そして桜は第4次聖杯戦争の間、ず〜っとああいう目に遭わされてましたし、
さらに言うなら、その後も10年間、同じ事をされてます
このダークなZeroにおいてさえ桜が一番不幸かも… 
いや、ジルに殺された子供たちも…

ちなみに劇場版プリズマ☆イリヤの桜も間桐家が滅んだという5年前までは本編の桜と同じ目に遭っていたはずです
その境遇を考えた上で彼女の士郎への告白を思い返すと泣けます…
なお劇場版プリズマ☆イリヤの桜が士郎の家を訪ねたことがなく、
本編の桜が毎日士郎の家に通ってるのには、ちゃんとした理由があります
まあ、その辺はHFで、ということで

最後に一つ
ウェイバーのその後を描いたロードエルメロイ二世の事件簿を読むなら、空の境界にも目を通した方がいいですよ
事件簿の2巻と3巻に空の境界のある重要な人物が登場します
Zeroで再起不能になったケイネスの両手の義手を用意したのも、その人物です
また作中で『根源の渦』や『起源』などの設定用語についてFateよりも詳しい説明がされてます

空の境界のアニメはZeroやUBWと制作会社が同じなので作画が美麗で戦闘も迫力があります
ただ演出の問題でわかりにくいシーンもあります
空の境界の漫画版は、まだ途中までしか進んでせんが、アニメ版よりも「わかりやすさ」はかなり上です
Posted by k at 2017年09月24日 22:50
☆k さん
こんばんはー
Fate/Zero まだ1巻しか読めてません ←漫画読むの遅くて;;

間桐の家はあの爺さんが気持ち悪いですよね
時臣は桜があんな目に合うと知っていて養女に出したんでしょうか…
それを思うと;;

空の境界 ←調べてみたら劇場版10本ありました!
さすがにそれは厳しそう〜 なので
こちらは原作小説を読む方で考えてみます。
ありがとうございます!

ロード・エルメロイII世への道は遠い…

Posted by 白黒ウサギ at 2017年09月25日 23:23
おはようございます。

爺さんも詳しい話は伏せますが、昔はイケメンだったのです。
あと令呪のシステム作ったのはあの人です。
Posted by 狐公方 at 2017年09月26日 07:50
時臣は桜が、ああいう仕打ちを受けるとは知らないはずですよ
魔術師は自分の家の秘儀とか修練法は秘密にしますから
間桐の魔術が蟲を使役するものというくらいは知ってたでしょうが

まあ、時臣の価値観的には桜がああいう目に遭ってる事よりも
「後継者」ではなく「子供を産む機械」として扱われてると知った方が
確実に憤慨なり後悔なりをしたでしょうけどね
時臣は間違いなく家族を愛してますが価値観や思考は魔術師の見本みたいな人なんで

凛は幼いから父親の良い所しか見えてませんでしたが、
もし時臣が存命した場合、父親の非人間な部分についていけなくなって家を出るか、
逆に父親と同じ冷酷な魔術師になってたかだったそうです
ちなみに葵さんは時臣の非人間な部分を知ってて愛してました

>空の境界 ←調べてみたら劇場版10本ありました!

その内、放映時間が1時間以上の長編は2本しかないですけどね
他は40〜50分の短編なので、全部で2クールのアニメと同じくらいの放映時間ですよ
Posted by k at 2017年09月26日 19:27
☆狐公方 さん
こんばんは!
「間桐 イケメン」で画像検索してみると、
慎二とディルムッド混ぜたような人が出てきました。
なるほどー!なんか了解しました…。

☆k さん
空の境界、機会があったら見てみますね!
配信にないのでレンタルしないとならないので!


Posted by 白黒ウサギ at 2017年09月26日 23:01
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