TOP や・ら行 龍の歯医者【後編・殺戮虫編】感想
2017年02月26日

龍の歯医者【後編・殺戮虫編】感想

2017年2月25日 放送【後編】 

龍の抜けた歯とともに地上へと落ちていった野ノ子とベル。地上で彼らを待っていたものは…?

ここからネタバレありの感想です。



前編はまだ穏やかさがあって、龍の背の上はとても美しい世界として描かれていたと思います。地上を生きる普通の人々と龍の歯医者は全く違う、何か不思議な妖精のような感じがするくらい。

後編は地上に降りた2人の話から始まります。龍の抜けた歯は地上とは交わらず、歯の根のようなものだけ残して砕け散ってしまいます。残った“歯”は、龍の元へ帰ろうとして道を示します。野ノ子は歯を守って龍に届けようとしますが…。

でも、地上は空の上とは違う血なまぐさい世界でした。何の運命なのか、野ノ子とベルを地上で待ち受けていたのは、ベルが死ぬ前に所属していた部隊でした。つまり、ベルを殺した人たちです。ブロンコと呼ばれる男が柴名と通じていて、龍の歯が抜けて地に落ちてくるよう作戦を立てていたようです。

ベルは、生きていたころブロンコたちのいる部隊の副隊長でした。でもベルが怪我人に合わせた行軍をするせいでいつまでも敵地から抜け出せず、危ない状態が続くことで隊員たちは反感を持っていました。この時も怪我で動けなくなった大尉を運ぶよう部下に指示しますが、誰も言うことを聞かず…。銃を向けても「どうせ撃てない」と逆に刺されて死んでしまいます。それが、ベルの最後でした。

…悲しいですね。

ブロンコたちに襲われますが、味方部隊に助けられ、翌日には飛行機で龍まで送り届けてもらえることになります。地上でも…というか、地上だからこそなのか、“龍の歯医者”は特別な存在だということがわかりました。まるで神の使いかと思うような手厚い扱いでした。ベルと野ノ子が夫婦と間違われて、ベルだけが照れていたのはちょっと可愛かったですね。

でもまだのんびりとした雰囲気があったのはこの時まで。翌朝になると、ベルは一緒に行かないと言います。野ノ子たちが運命をただ受け入れて、もっと生きようとしないことが納得がいかない、龍の歯医者にはなれない…って。一度死んだベルからすると、自分の死の瞬間を知っていながら受け入れるなんて、と思うんでしょうか。前編で死んだ人の魂をやすらかに…みたいなことを言っていたベルが、急に歯医者に否定的になるのは不思議な気がしました。好きな子の死ぬところはみたくないかもしれないけど、それ以前に生きている間はずっと一緒にいたいと思わないでどうするの、と思うけどなー…。

飛行場へ向かう途中でブロンコたちに歯を奪われてしまい、飛行機も奪われ、でも野ノ子はあきらめません。ブロンコの狙いは“歯”そのものではなく、歯を利用して龍に入り込むことだったんですね。てっきり歯を抜いて龍を弱らせるのが目的だと思っていたら全然違っていました。龍に行く目的も、ブロンコの個人的な感情にあったみたいで、なんだかモヤモヤしました。

龍には見えない壁があり、その壁の中へは入れないが、歯を持っていれば一緒に入れるだろうと。その目論見どおり、内部に入るのには成功しますが…。壁の中に入り龍の力を取り戻した野ノ子が暴れ、歯を取り戻します。でもブロンコたちは、龍に着いてしまえば歯なんてどうでもよく、野ノ子はほおっておいて“竜宮”と呼ばれる神殿を目指します。そこにあったのは“龍の親知らず”。抜いても唯一痛くないこの歯を使って人と龍は契約を果たした…だから親知らずを奪ってしまえば契約は終わるだろう、終わらせよう、というのがブロンコの目的でした。死者を蘇らせる龍なんて気に入らない、と言っていましたが。何か個人的な理由みたいですが、ハッキリ何も描かれなかったので真意は謎です。ブロンコだけ弾が当たらなかったのも謎ですけれどね。

一方、自分の運命を受け入れたくない柴名は、死んでしまった好きな人の魂を龍の歯から取り出すために人間を捨ててしまったようです…。龍の歯に入りこみますが、そこでわかったのは死んだ人はもう帰ってこないのだということ。柴名が入った龍の歯からは、人の殺意を養分とした虫歯菌が沸いて溢れて出てきます。破裂した虫歯菌は大きく地上を覆い、敵も味方も関係なく殺意を持つ人間だけを次々と殺していきます…。

柴名が龍の歯の中を旅するところは…ちょっと表現が現代的じゃないっていうか何ていうか。芸術系なのか、あえての古い感じなのかな…。ちょっと気持ち悪かったです。好みの問題かと思いますが、私はあんまりこういうノリだと好きじゃないかな…。続く虫歯による殺戮のシーンもダメでした。人が死んでいく様をやんわり表現しても意味がないでしょうから、残酷なのは仕方がないのですが、あの妙な色合いがダメでしたー…。

人の殺意を察知して殺して、さらにその殺意を養分にして大きくなる“殺戮虫”。抜けたところに歯を戻し根元から養分の供給を断てば虫もいなくなるだろうと。野ノ子は歯を届けに走ります。ベルはここにきてまだ迷うのか…と思ったら、別のやるべきことがあるから、と。でも野ノ子はあきらめず、ベルに待ってるからと言い残します。

ベルは竜宮へいきブロンコと対峙します。銃を突き付けますが、それはブロンコを撃つためではなくてブロンコに撃たせるためでした…。ブロンコの殺意を殺戮虫が察知し、ブロンコも死んでしまいます。龍の親知らずはこれで取り返すことができました。ただ、ベルは死んでしまったけれど。

ベルの回想とおり、ベルは野ノ子に会えて良かったのかもしれないけれど…。一度死んだ命を龍によってまた生きることが出来て、そして龍のためにまた死んでいきます。短い二度目の人生だったけれど、好きな子に出会うことが出来たのは幸せだったのかもしれないですね。ああ…でもやっぱりかわいそうだな。残酷だなーと思います。せめてこの出会いが野ノ子にとっても意味のあるものだと良いのですが。

こんなに人を巻き込んで大災厄を起こした柴名に、みんなが優しかったのはちょっと意外というか、それでいいの…?と不思議に思いました…。「たくましいねえ」じゃないと思うんだけど…。運命を受け入れずに抗うっていうのは、あんな風に醜く生きていくことなのかなあ。

最後に一瞬出てきた金髪の男の子は、いつか野ノ子を殺す少年ではなかったかな?

歯も治って親知らずも戻った龍は、また空へと飛び立っていきますが…。
なんだかフワフワした終わり方でした。たくさん人が死んで、それに何か理由があったのかというと何もないように思えます。運命を受け入れること、受け入れないこと、生と死を描いた作品なのかなーとは思いますが…、どうなんだろう。前編の雰囲気はとても好きだなと思ったのですが、後編に描かれていることが伝えたかったことですよね。なんだか難しいですね。

原作・脚本:舞城王太郎
脚本:榎戸洋司
監督:鶴巻和哉
キャラクターデザイン・作画監督:井関修一
キャスト:清水富美加、岡本信彦、山寺宏一、林原めぐみ、櫻井孝宏、津田健次郎他




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posted by 白黒ウサギ at 01:36 | Comment(5) | TrackBack(0) | や・ら行
この記事へのコメント
長編もやるようだし野々子の牙の時(だっけ?)はまだ先ってことですかね
ベルには生きてほしかったですね、一度死んでいるからその都合もあったんでしょうけど
最後のベルの独白は好きだったけれど単純に後味いいのが見たかった、野々子の呼びかけが悲しすぎる…
ブロンコとの因縁の決着ってのがあったんだろうからそれはいいですけどね
もし柴名の言うように龍がいなくなったらどうなるんでしょうね、歯医者は


Posted by p at 2017年03月07日 15:28
長編ってのは今回の前後編のことでした…

すいません
Posted by p at 2017年03月07日 16:15
☆pさん

こんばんは。コメントありがとうございます。
龍の歯医者、また続き?というか何かあるんですね。
知らなかったので、嬉しいです。教えてくれてありがとうございます。

野ノ子の「キタルキワ」でしょうか(そう聞こえました)
どうして死んでしまうのか、気になりますよね。

ベルも生きていてほしかったですね。せっかく生き返ってきたのに…
ブロンコとの決着も良かったです。
ベルの生き方(銃を撃てなかった、殺意を人に向けられなかった)というのが
肯定されたのは良かったなーと思うんですけど…
でも2度もブロンコに殺されてしまうのは、結局運命からは逃れられないってことなのかな?
辛いですよね。

龍がいなくなったら歯医者も消えてしまうのかもしれないなあって思いました。
Posted by 白黒ウサギ at 2017年03月07日 22:13
ブランコは龍の歯を通って死んだのは確実だけどベルが死んだというのはまだ確実とされて無いからまた龍の歯から出てきて主人公と結ばれてくれないかな〜ヽ(;へ;)ノというかそうしてくだい!!!そうじゃないと悲しすぎます。゚( ゚;ω ;゚)゚。
Posted by ゆうゆう at 2017年04月09日 17:56
☆ゆうゆうさん

コメントありがとうございます。
そうですね、死んじゃったみたいに描かれてましたけど(撃たれた瞬間は)
その後は、よく見たら、また生き返る可能性もありましたね。
ベルは優しくてとてもいい子だし、ノノコも危なっかしくて心配だし
私もゆうゆうさんに賛成です! 続き観たいですね。
Posted by 白黒ウサギ at 2017年04月09日 18:05
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