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2016年12月06日

この世界の片隅に【映画】感想

この世界の片隅に 

公開:2016年11月12日

先週末、ふと思い立って観に行ってきました。前日に席の予約をした時はまだ余裕があったのですが、実際に劇場にいったら満席な上に、その日の上映分は全て売り切れになっていて、ビックリしました。せっかく話題になっているのに上映館が少ないせいですね(これから拡大上映するみたいですね)。いいタイミングで予約できたみたいで、観ることができて良かったです。

戦争の時代の物語ということで、もっと悲しいものを想像していましたが、とても優しい物語でした。もちろん悲しい出来事、重く辛いこともたくさんあります。

でもそれ以上に、小さくささやかだけれど楽しく優しく暖かい日常がありました。まるで絵本のような優しい絵柄と、ゆったりしたアニメーション表現がとても合っていて、良かったです。主演の“のん”さんも上手でした!

ここからネタバレありの感想です。



広島で海苔を作る家で育ったすずは、ちょっとぼんやりしているけれど絵が好きで真面目な働き者の女の子です。ある日、兄の変わりに町まで海苔の納品に行くのですが途中で道に迷い、大男のかごに背負われれ攫われそうになります。そのかごの中で出会ったのが、将来の夫・周作でした。

そんな風な、ちょっと幻想的な感じで物語が始まります。

この出来事のどこまでが本当のことなのかわからないのですが、この時に周作と出会ったことは確かで、ずっと周作はすずのことを探してお嫁に貰います。ささやかな出会いをずっと大切に思っていてくれたというのは、ちょっとロマンチックかもしれません。ただ、そこからおつき合いが始まって…というのならロマンチックで話も済むのですが、いきなり結婚まで飛躍してしまう時代のお話です。

そうして、すずは誰も知っている人のいない呉にお嫁に行きます。知人も友人もいないというだけではなくて、新たに家族になる夫も義両親も知らない人なんですよね…。見ず知らずの人の中で、お嫁に行った次の日から当たり前のように日常生活が始まるなんてすごいことです。昔の人はたくましい。

戦時中の“普通の生活”が描かれているのも、知らなかったことだらけで新鮮でした。その場所での人間関係であったり、食べ物のことも、衣服も着物をリメイクしたり、色々なものが不足している日常生活です。

印象に残ったのは、食事の時に電気の笠を黒い布でおおっていたところ。何度も出てくる描写なんですが、何しているのかわからなかったんです。なんか昔の常識なのかなぁ?って。でも戦争が終わったら、その黒い布をとるんですよ。すずの家だけではなく、他の家でも。それが対岸からポツポツと家に灯りがともる様子になって…。夜、家から灯りが漏れると上空から見えるから、隠していたのか、とその時にやっとわかりました。(自分がものを知らなさすぎなんだなーと思いました…)。

制約と我慢だらけの日々を、すずが小さな失敗を繰り返しながら、ホンワカと過ごしていきます。柔らかくあたたかな様子は見ていて優しい気持ちになります。

だからこそ、なのですが、爆撃シーンの迫力と日常の対比が凄いです。戦争はとにかく悲惨です。何度も空襲があり、危ない目にもあっているのですが、ある日とうとうかわいがっていた姪の晴美が目の前で爆発に巻き込まれ亡くなってしまいます。すずは晴美と繋いでいた右手も失くしてしまいます…。好きだった絵も描けなくなり、普通の日常生活もままならなくなります。

その少し前、周作と2人で話をしていて、今の生活が楽しいから「夢なら覚めないでほしい」と言っていたのに…。戦争が激しくなるにつれ、“日常”はなくなり、だんだんと辛い描写が増えていきます。

すずの妹が広島から遊びにきたときに、「呉は空襲が多いからかわいそう」「広島に帰っておいで」と言うところも、胸が締め付けられました。

その後、広島へ原爆が落とされます…。

この後も色々あります。広島の実家のこともあるし、終戦の時は、おとなしかったすずが、敗北したことで怒りを感じるところも何ともいえない気持ちになりました。

最後は明るく希望がある終わり方でとても良かったです。知らない人間同士だった周作と、少しづつ夫婦になっていく過程もとても良かったです。一目惚れしてくれた夫と、もし不幸ならと攫いにきてくれた幼なじみ。どちらも王子様っぽかったのも素敵でしたね。

「みんなで笑って暮らしたい」本当にそうですね…。私たちも、すずのようにこの世界の片隅に、小さな幸せと小さいけれど大切なものをたくさん見つけて、生きていくのだと思います。

心を揺さぶられる、とてもいい映画でした。音楽も素敵でしたよ。

公開:2016年11月12日
原作:こうの史代『この世界の片隅に』
監督:片渕須直/脚本:片渕須直
キャラクターデザイン・作画監督:松原秀典
アニメーション制作:MAPPA
キャスト:のん、細谷佳正、稲葉菜月、小野大輔、潘めぐみ、岩井七世




posted by 白黒ウサギ at 22:29 | Comment(2) | TrackBack(0) | か行
この記事へのコメント
私も見ました。

素晴らしい映画でした。
今年の邦画は豊作です。

というか、みぎてのうたは反則でしょう。
ヨーコちゃんの過去と現在の背景に流すのは本当に反則。(ヨーコちゃんはすずさんが拾った女の子のことです)

ちなみに本来は2時間半あったそうですが資金の都合上20分カットされたそうです。
カットされたのは主にリンさん(遊郭で会った女の人)関係。
一応はエンドロールでリンさんの事は少し出てきましたが…

リンさんは貧乏ですぐに奉公に出されてほとんど学校に行かなかったので読み書きが出来ません。
だから彼女が持ってる自分の名前や血液型を書いた札は馴染みの客が帳面を破って書いてくれたものです。
ところで周作がすずさんに持ってきてもらった帳面には四角く破られた跡がありましたね。
あの破られた部分は誰がもっていると思います?
周作は「選ばなかった道は覚めて終わった夢と同じ」と言いましたが、彼にも選ばなかったもう一つの道があったんですね…

なぜそちらの道を選ばなかったのかはハッキリしません。
周作が家族に反対されたのか、あるいはリンさんが断ったのか。
リンさんは屋根裏に隠れ住んでいた自分にスイカと着物をくれた女の子をずっと想っていた気配もありますので…

しみじみ。


Posted by もにゃら at 2016年12月08日 02:09
もにゃらさん

良かったですよね!
今年の邦画は…「君の名は」も「シンゴジラ」も観る予定もなくて、これしか見てないですが…(汗

リンさんの件はちゃんと詳しい(?)内容があったんですね。
空襲のあとかな、すずがリンさんを探すところがあって、ちょっと違和感があったんです。
親切にしてもらって気にかけてたのかもしれなくて、それはいいんですが、
物語の中でとりわけフォーカスするようなキャラだったかな…?って思ったので。

なるほどこれでスッキリしましたー!いつもありがとうございます(・∀・)

でも、周作の王子様感が少し下がってしまいましたw
Posted by 白黒ウサギ at 2016年12月08日 23:10
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