明治時代の琵琶湖が舞台のファンタジー+アクションもの。アニメの他にも舞台化もしていますが、実写映画も決定しましたね。2017年公開だそうです。曇天、かっこいいのでね〜。
明治維新後、重犯罪者を収監するため、琵琶湖の真ん中に浮かぶ巨木の中に脱獄不可能な「獄門処」という監獄が作られました。この獄門処へ犯罪者を船で送り届ける任務をしてい「曇(くもう)三兄弟」の話です。三人を取り巻く物語は、監獄に絡んだ犯罪者の話から土地にまつわる伝説やそれに絡む陰謀など、かなり大きな話です。複雑な物語ですが、軸は三兄弟のかっこ良さと絆の強さです。
イケメンだらけで声優さんも豪華で女性向けかな〜と思いますが、ストーリーは面白く、男女問わず楽しめると思います。
ここからネタバレありの感想です。
舞台は明治維新から数年後という設定で、政府に反感を持つ元士族や、政府内での陰謀があったり、忍者の風魔一族など様々な立場の人が出てきます。そして、曇兄弟の長男、天火も含めそれぞれの思惑に沿って行動しているのですが、じつは前半はまだ話の本筋が見えません。前半の区切りで大事件が起こり、そこから後半の怒涛の展開が一番のみどころです。
序盤の3話くらいだと、ただ三兄弟が監獄へ犯罪者を送る日常を描いたものかなー、何かあるとしてもその延長線かなー、と思っていたのですがとんでもなかったです。後半がみどころなので、もし途中で見るのをやめちゃった方がいましたら、とりあえずこの先のネタバレは読むのをやめてですねw、作品を最後まで観てビックリされるといいかなーと思います。
物語の設定としては、アクション要素が強いのですが、表現としては柔らかめです。動きよりも全体の作画重視なのか、作画は最後まで大きく崩れることなくきれいでした。でももうちょっとアクションがんばって欲しかった気もします。迫力があればもっと見応えがあったな、話に入り込めたな、と思う箇所がチラホラありました。なかなか大変だとは思うんですけどね。
三兄弟では、長男の天火(てんか)は長男らしく面倒見がよく人から頼られるタイプで、剣の腕も立つとにかく“強い”人です。常に弟想い、自己犠牲的な考えが強いかなー。そして次男の空丸は、兄の強さを超えたいと思っている、真面目で努力するタイプ。末っ子の宙太郎は、素直でいい子、いわゆる愛されキャラですね。兄たちをまっすぐに慕っています。喋り方に癖があるので最初は気になったのですが慣れます。大丈夫です。
この三人それぞれが起こすエピソードが繋がっていく中で、気がついたらかなり大きい話にまで展開していくんですよ。よく出来ています。三兄弟だけではなく、忍者の風魔一族や特殊部隊の犲(やまいぬ)、式神、殺人鬼とサブキャラクターたちもみんな魅力的です。捨てるところ無しです。
まずは、序盤で宙太郎が嘉神と関わるエピソード。嘉神は子どもの宙太郎を自分は業者だと騙し、兄たちに内緒でこっそり獄門処へ運んでくれないかと頼みます。実は嘉神の正体は殺人鬼で、目的があって獄門処へ行こうとしているのですが、この時の宙太郎への頼み方が秀逸なのです。自分にも弟がいて…とか、宙太郎が一人で「橋渡し」できれば、お兄ちゃんたちが褒めるだろうなど話します。宙太郎は兄たち(特に長兄の天火)が大好きですが、自分が小さくて兄たちの役にたっていないことを気にしているところもあります。そんな宙太郎の心を巧みに突いてくるのです。
すっかり騙されて、じゃあこっそり送ろうかとなったところで、潜伏している殺人鬼を探しにきた空丸と鉢合わせします。ここでは、嘉神は空丸を天火と間違えるのですが、空丸は否定せず自分が天火だと名乗ります。空丸の中には、強いことで名を知られている天火への嫉妬と、自分も早く一人前になりたいという成長への強い想いがあります。空丸もかなり頑張るのですが、嘉神はとても強く、そしてやはり力では天火にはかなわず、助けられることになります。
この事件がきっかけで、空丸が、犲(やまいぬ)に稽古をつけてもらうことと引き換えに、獄門処で潜入捜査することを引き受けます。しかしこれが更に大事件への引き金になります。空丸救出の際に獄門処が火事になり、その責任をとらされる形で、天火が処刑されてしまいます。
と、ここまでで前半。天火は本当にかっこよく、見た目の派手さもあって、初めはこの長男が主役だと思ってみていました(主役は空丸でした)。ところが、処刑されて退場するというまさかの展開でした。処刑場へ行くまでかなり引きずったので、助かるのかと思っていました。天火も最後は泣いていてショックでした。この後、オープニングからも天火の絵がなくなり、見るのが辛い後半でした。
後半からは「大蛇(おろち)」の話へと発展していって、これが犲たちの話や風魔一族へともつながっていってとても面白いのです。一気に時代を超えるスケールの大きな話になります。天火が処刑を受け入れたのは、ただ火事云々ではなく、自分が生きていると自分の体を器として、伝説の大蛇が世を滅ぼすために復活してしまうから…という理由でもありました。もともと、曇神社は大蛇を抑えるためのもので、曇兄弟の本当の役割は大蛇退治です。
後半は大蛇との闘いに向かってかなりスピード感がありました。過去の時代の大蛇との闘いや、式神の牡丹と比良裏の恋愛話も面白かったです。ずっと三兄弟と一緒に過ごしてきた風魔の白子に裏切られたり、本当に波乱万丈の展開です。嘉神もまた出てきて、宙太郎とのエピソードがまたあるのですが、これもまた泣けます…。終盤、天火も実は生きていたことがわかり、そもそもの大蛇の器が誰かもわかります。最後は皆でがんばって終わります。本当にこれでアクションさえ良ければ何も言うことないんですよーw
全て終わったあとの天火の「これからも笑って泣いて生きていこう」という言葉に泣けてきます。最後までみると「曇天に笑う」のタイトルの意味がわかります。
放送期間:2014年10月〜12月(全12話)
原作: 唐々煙/監督:原口浩
シリーズ構成:高橋悠也/脚本:高橋悠也、おかざきさとこ
キャラクターデザイン:牧孝雄
アニメーション制作:動画工房
キャスト:中村悠一、梶裕貴、代永翼、櫻井孝宏、鳥海浩輔、佐藤利奈、鈴村健一、三木眞一郎、ほか
原作: 唐々煙/監督:原口浩
シリーズ構成:高橋悠也/脚本:高橋悠也、おかざきさとこ
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