しばらく不穏な空気が漂っていたカバネリ、第9話です。金剛郭を目指してきた甲鉄城も旅の終わりが見えてきました。最後の駅、磐戸駅へと到着します。しかし駅の中へ入るのを許されたのは甲鉄城だけ…。
予想していたよりも酷い展開になってしまって驚愕しています。なんてこと…。
ここからネタバレありの感想です。
克城は駅へ入ることを許されず、門の外で待機させられます。それはそうだろうと思います。嫡男なのに勘当されるのはよほど将軍の怒りを買ったという証拠で、あっさりと帰ることが許される筈がありません。しかし諦めずに美馬は磐戸領主に会談を求めます。
克城から侍以外の民は降ろされ、甲鉄城とともに磐戸駅へ入ることを許されます。狩り方衆から離れられたことで菖蒲はホッとしますが、美馬の元へ残った無名のことを心配しています。
美馬の会談は許可されましたが、相変わらず克城は門から入れず、お付きの者も女、子どもに限ると条件を付けられます。ああ、こういう時のために無名のような子どもも用意していたんですね…。なんてこと。美馬は本当に何の救いもなくただの悪い人なのかと思うと、とても悲しいのですが…。
無名が美馬の言うとおりにしていれば、良い世の中が来ると信じているのも悲しいです。そして無名が戻ってきたから、先に自分を壊すのだろうと、捨て駒にされることを察知している滅火。克城は悲しいことだらけです。
美馬の作戦開始、美馬と滅火は領主と家臣を殺害、無名は厠へいくふりをして橋を下ろしにいきます。途中、邪魔をする相手も気絶させるだけで「殺したら生駒に怒られる…」って。無名は生駒からちゃんと大事なことを受け取ってるのに…。生駒と会う前の無名なら弱い相手は殺されて当たり前という態度だっただろうと思います…。
橋を降ろして入ってきたのは、バイクの十人衆が率いるカバネの集団でした。カバネは人々を襲い、あっという間に街中パニックになります。なぜこんなことになるのかわからない無名…。そして新たなウイルスを投与された滅火は黒けぶりにとなり、大門を壊しますが、途中から自分を制御できなくなり、誰彼かまわず襲いはじめます。
一瞬落ちたのは汗か涙か、でも最後は顔色ひとつ変えずに滅火を刺し殺して事態は収束します。これが真の平等の世の中だ、と演説を始める美馬ですが…、何言ってるんだろ?
まるで民意を代弁するかのような、大げさな言い方をしているけれど、美馬の個人的な問題なのではないの?勝手に一人で戦えばいいのに、無関係な人々を巻き込んで人も町も壊してしまうなんて、許される筈がありません。かつて美馬は、父である将軍に酷い目に合わされたのかもしれません。カバネの群れの中にわざと置かれたという回想がありましたから。辛い思いをしたのかもしれません。
でもそれは、今、美馬が滅火にしたこと、無名にしたこと、磐戸駅の人々にしたことよりも、この駅に来るまでの間にあちこちでやってきたことよりも、酷いことですか?
一体何を解放したいんでしょうか。解放されたいのは美馬の心に見えます。
甲鉄城の人々が人質にされ、カバネに噛まれた子どもを殺され、生駒が吠えています…。いつでも生駒の言うことは正しかった。救いの道を見つけてほしい。
マッドサイエンティストも出てきて、いよいよ最終決戦という感じですが、きれいにまとまるのか不安になってきました。
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