わりと面白かったです。見終わってからけっこう時間がたってるので、細かいところは覚えてないかも…ですが。感想メモしておきます。原作は未読です。
ストーリーは、ある日どこからか正体不明の生物が飛来し、人間の脳へ侵入し寄生します。主人公の新一も寝ている間に侵入されそうになりますが、間一髪で目を覚まします。慌てた謎の生物は新一の右手に寄生してしまい、以降、新一は様々な災厄に巻き込まれることになります。
続きはネタバレありの感想になります。
ジャンルでいうと怖い方にはいると思うのですが、キャラクターも背景も、絵はキレイだったな〜と思います。
前半の方は、残酷なシーンも多くて怖かったのですが、日常パートで新一とミギーのやりとりで笑えるところもけっこうあって、バランスが良かったと思います。人間社会のことがわからないミギーが一生懸命勉強するのがおかしく、最初は気味が悪かったミギーがだんだん可愛く見えてくるから不思議です。
パラサイトのことがよくわからないうちに学校で事件が起きたり、いきなり変形して攻撃してくる描写とか、血の表現も多くて、新一が弱くてミギーに任せっぱなしの初期はとても怖かったです。序盤はとにかく謎が多かった。
新一の両親が襲われたところがストーリーの大きな転機になります。
パラサイトになった母親に新一が刺され大量に出血します。そのままでは新一の命が危ないため、ミギーは自分の一部を新一に同化させます。ミギーと同化してからの新一は、通常の人間ではありえないような身体能力を手に入れます。対してミギーは、一日のうち数時間を深い眠りにつかなければならなくなります。ミギーの意識がない=新一は無防備な状態となります。
ミギーと同化してからの新一は、合理性を重視した思いやりに欠ける行動をとったり、涙を流すことができなくなるなど、まるで別人のようになり、恋人のサトミに不審に思われます。
行動だけじゃなく見た目が大きく変わったのも、彼女からすると違和感あると思うんですよね。ミギーの能力でメガネはいらなくなったとしても、髪型まで変えなくてもいいのでは〜、と、新一の初期のビジュアルの方が好みだったので私は残念に思いました…w 原作どおりの見た目なのかもしれないですが。
後半は攻撃的なパラサイトたちとの攻防戦でした。新一に片思いしていたカナが殺されてしまったり、悲しい事件が続きます…。パラサイトの集団との闘いがメインです。ホラーというより、バトル・アクションが多かったです。視聴者への問いかけやちょっといい話なども挟んてきて、序盤のコミカルな感じは消えてしまい、だんだんシリアスな話になっていきます。
新一が合理性を重視する思考回路に変わるように、パラサイトたちは情緒がなく感情に左右されることがありません。人類を絶滅させろという命令を受け取り、そのとおりに行動しているだけです。いったい彼らがどのように生まれて、どこから来たのか、これは最後まで謎のままでした。
パラサイトたちに繁殖能力はありませんが、人に寄生した状態では可能です。新一の学校教師の姿をしている田村玲子は、人とパラサイトの研究の一貫として、赤ちゃんを産みます。赤ちゃんの見た目は人間と同じですが、この生まれてきた命は、人間なのかパラサイトなのか。命にどんな違いがあるのか?この作品のテーマの一つです。
感情がないパラサイトである筈の田村玲子が、自分の命と引き換えに赤ちゃんを守る姿をみて、新一は救われます。母親に刺されたことで感情が凍っていた新一が、また涙を流せるようになります。パラサイトによって奪われた感情がパラサイトによって戻ってくるわけですが、これもまた、子供を守るこの姿は人ではないのか?という問いかけです。
でもどうなんでしょうね…
寄生生物はどこまで行っても寄生生物なんじゃないのかなぁと私は思いますが…。
元々は寄生される前は人間なので、その人間の部分に触れていくことで、寄生生物にも人間的な考え方が生まれるのかもしれません。それもただ生きていくわけではそうならず、人として生きる努力をしなければ、そうならないと思います。田村玲子のように。でも、田村玲子は元々の人のすべてを奪って存在しているわけで、許されるわけはないとも思います。だから、あんまり綺麗事も言いたくないです。
新一がミギーの影響を受けたように、ミギーも新一の影響を受けているはずで、最後に深い眠りにつくことを選んだのは、ミギーの優しさと新一への罪滅ぼしではないのかと思いました。